2026.10.22
病院第12回日本救急救命学会学術集会にてランチョンセミナーを共催 『救急医療情報システムの未来像〜XRを利用した救急現場〜』
TXP Medical株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:園生智弘)は、2026年10月4日(日)、第12回日本救急救命学会学術集会(会場:東京慈恵会医科大学 西新橋キャンパス)において、「救急医療情報システムの未来像〜XRを利用した救急現場〜」と題したランチョンセミナーを共催いたしました。
座長には喜熨斗智也先生(日本救急救命学会理事/国士舘大学 体育学部スポーツ医科学科 教授)をお迎えし、藤沢市消防局の鈴木真也氏、野林宏輝氏、および弊社開発部の菅繕久が登壇いたしました。

セミナーでは、救急活動支援システム「Rescue-AR(プロトタイプ)」のデモンストレーションを実施し、会場の救急救命士・医療関係者の皆様と、救急現場における記録・情報連携の未来像を共有いたしました。ディスカッションでは、「記録のための時間ではなく、傷病者に向き合う時間を増やす」ことが目指すべきDXの姿であるとの認識が共有されました。
■ セミナーの背景と目的
救急のDXにより、記録の電子化や医療機関との情報共有は大きく進みました。一方で、情報を集め、整理し、入力する作業は依然として現場の隊員に残っています。本セミナーでは、学会テーマ「現場の知を科学に 救急救命士が創るエビデンス」を踏まえ、現場の実践と技術の両面から、XR技術が救急活動をどう支援できるかを紹介いたしました。
■ 講演内容のハイライト
【鈴木真也氏(藤沢市消防局)による講演】
1. 記録を技術に委ね、救急救命士が「判断する人」になる
観察・処置・傷病者との対話の中で生まれる情報が、入力を意識しなくても自然に記録として構造化される救急活動の未来像を提示しました。技術が作業を担うことで、救急救命士が観察・判断・対話に時間を使えるようになるという視点で、目指すDXの姿が語られました。
2. 「知の循環」―記録をエビデンスへ
記録を活動報告のためだけのものにとどめず、同じ定義・構造で蓄積して検証可能なデータとし、教育やプロトコルへ還元する循環が提唱されました。技術が作業を担うほど、観察力・判断力・対話力といった人間の力の価値は高まるとの考えも示されました。
【菅繕久(TXP Medical株式会社 開発部)による製品紹介・デモンストレーション】
1. 課題認識:記録は早くなったが、入力中は手と目が傷病者から離れる
救急隊向けアプリ「NSER mobile」により記録や受け入れ要請は迅速化した一方、入力の間は隊員の手と目が傷病者から離れてしまう点を課題として紹介しました。
2. 「Rescue-AR」デモンストレーション
現場到着から搬送先決定までを寸劇形式で実演し、隊員が一度も手を使って操作することなく、以下を実現できることをご覧いただきました。
傷病者との会話から、氏名・主訴・既往歴・現病歴などを音声で自動的に構造化して記録
ARグラスのカメラによる免許証・お薬手帳・バイタルモニター画面の読み取りと記録への反映
時系列での処置記録の自動蓄積
医療機関側のブラウザ画面へのリアルタイムな情報連携と、ARグラスへの受け入れ可否の返信表示

■ ディスカッション・質疑応答
ディスカッションでは、3名で活動する救急隊において記録まで手が回りにくい現状や、デバイス導入により3名全員が傷病者に向き合える可能性について議論されました。野林氏からは、NSER mobileによる事前の情報共有により、病院への電話連絡が30秒かからず完了する場面も多いという現場の実感が共有されました。
導入に向けた課題としては、予算と、個人情報保護・情報セキュリティが挙げられ、期待される効果と費用対効果を示していくことの重要性が確認されました。
今後の展望として、医療機関から救急隊へのビデオ通話機能や隊員視点の共有による連携強化に加え、記録が構造化データとなることを活かした統一的なフィードバックなど、教育・訓練への活用可能性についても意見が交わされました。会場からいただいた色覚特性への配慮に関するご質問に対しては、製品化にあたってUI・配色面でも考慮していく方針をお伝えしました。
座長の喜熨斗先生からは、2040年問題を見据え、救急隊を増やし続けることが難しい中で、現場・教育・企業が一体となってデバイスと共存しながら救急の質を高めていくことの重要性と、Rescue-ARへの期待が述べられました。
本セミナーは、救急現場における記録・情報連携のあり方と、XR技術の可能性について考える、非常に有意義な機会となりました。今後もTXP Medicalは、現場の声に寄り添いながら、救急隊員が傷病者と向き合う時間を増やすための技術開発に取り組んでまいります。

本セミナーにお越しくださった皆様、ならびにご協力いただいた藤沢市消防局の皆様に、心より感謝申し上げます。
■ セミナー概要
名称:第12回日本救急救命学会学術集会 ランチョンセミナー1
テーマ:救急医療情報システムの未来像〜XRを利用した救急現場〜
座長:喜熨斗智也 先生(日本救急救命学会理事/国士舘大学 体育学部スポーツ医科学科 教授)
演者:鈴木真也 様(藤沢市消防局 救急救命課 主幹 消防司令)
野林宏輝 様(藤沢市消防局 救急救命課 主査 消防士長)
菅繕久(TXP Medical株式会社 開発部)
日時:2026年10月4日(日)
会場:東京慈恵会医科大学 医学部(西新橋キャンパス)第一会場
共催:第12回日本救急救命学会学術集会/TXP Medical株式会社
機材協力:XREAL株式会社
【XREAL株式会社について】
XREALは、急成長中のAR(拡張現実)企業で、物理的な世界とデジタルの世界を融合させるハードウェアとソフトウェアのソリューションによって、次世代のユーザーインタラクションの到来を提供しています。
ARグラス製品「XREAL Oneシリーズ」、サブブランドである「xbx」を通じて拡張現実体験を革新してきました。ARを誰しもが利用でき、アクセスできるような世界を目指し、日々開発や普及活動に励んでいます。それに共感していただいている多くの投資家と世界有数の5G企業とのパートナーシップに支えられながら、今日XREALのARグラスはグローバルで展開されています。
【XREAL社コメント】
XREAL Brand Development Director 中澤真人
今回TXP様とご一緒できることを大変光栄に思います。救急現場における「記録しない救急活動記録」というコンセプトは、まさにXRが医療・救急の現場に貢献できる可能性を示す、非常に意義深い取り組みだと感じています。ARグラスを活用することで、隊員が傷病者から視線を外すことなく、両手を処置に使いながら情報共有が可能となる未来は、救急医療の質そのものを大きく向上させるものと確信しています。AIとXRの融合により、現場の判断精度が高まり、一人でも多くの命を救うことに繋がると信じています。ARグラスメーカーとして、TXP様とともに、テクノロジーが医療現場の最前線を支え、人が人に向き合える時間を生み出す社会の実現に貢献できるよう尽力していきたいと思います。

【救急医療情報システム「NSER mobile」について】

「NSER mobile」は、救急隊が現場で収集する患者情報(バイタルサイン、既往歴、お薬手帳など)をスマートフォンやタブレットからOCR(画像認識)や音声入力を用いて迅速にデータ化し、医療機関にリアルタイムで共有するTXP Medicalの提供する救急搬送システムです。これにより、受け入れ要請の効率化とデータに基づく救急医療の質向上を支援します。



