2025.02.03
プレスリリース東京都で実証検証。日本初、救急隊業務に生成AIを用いた救急医療情報システム 東京消防庁INNOVATION PROJECTにて
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TXP Medicalと東京消防庁は、TXP Medicalが保有するデジタル先進技術(救急搬送に係わる音声認識及びAI技術)と、「東京消防庁 INNOVATION PROJECT」事業において「救急活動における情報管理の効率化」の検証に関して協定を締結しました。
本実証検証では、救急隊と医療機関間でのデジタルでの情報共有を行う「NSER mobile」に、救急隊が現場の傷病者情報を音声入力すると、生成AIによる構造化された救急活動記録が作成される機能を日本で初めて搭載します。救急隊員は、入力方法やデータフォーマットを意識することなく、音声による情報入力により効率的かつ詳細に傷病者の状態を記録し、医療機関等と情報共有することが可能となります。本実証検証により、救急活動における情報管理の効率化観点での効果を検証します。
東京消防庁INNOCATION PROJECT 2024は『消防・救急活動等にデジタル先端技術等を実装し、「消防・救急活動等の安全性・確実制・迅速性の向上」、「消防行政における業務の効率化」』の実現により、都政のQOS向上を目的としているプロジェクトです。
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【背景】
東京都の救急出動件数は令和2年720,965件であったのに対し、令和5年では918,311件*1と令和3年以降急増の一途を辿っております。これは1日平均にするつと2516件、つまり34秒に1度の割合で出場したことになります。あわせて東京都の人口は増加傾向*2にあります。 東京消防庁では2021年よりDX推進に向けて「東京消防庁改革本部」および「DX推進検部会」を設置、DXによる構造改革、業務改善等に関する検討をスタート*3、2023年には「デジタル先端技術等の実装に向けた技術検証等の実施に係る協力企業の募集」を開始し「東京消防庁INNOVATION PROJECT」として公募を実施しました。*4
【日本初※生成AIを使った救急医療情報システム】※当社調べ
救急隊と医療機関をデジタルで情報共有する「NSER mobile」の入力支援に生成AIを利用し、タブレットに音声入力すると、生成AI技術により自動的に重要な情報を抽出・構造化し、救急活動記録形式に成型します。
本技術を用いることで、救急隊が傷病者に対する処置や観察をしながら記録も同時に行うことができます。OCR機能や、画像添付と組み合わせることで、キーボードを使った手動での文字入力をほとんど使うことなく、救急活動記録が作成され、医療機関等と共有できます。
これまで、救急隊員は両手がふさがった状況での情報入力を求められることや、音声入力においても特定の項目にカーソルを合わせてから音声入力を開始する必要があるなど、操作性に制約がありました。また、医療用語の誤入力や表記揺れが頻発するケースも見られ、システムを使用する側にもインターフェイスに対する学習や慣れが求められていました。
新システムでは、生成AIが救急隊員の音声をリアルタイムで解析し、入力すべき項目ごとに適切に構造化されたデータとして自動処理することで、従来の問題を解決。たとえ「えー」や「あー」などの曖昧な言葉や、医療記録に無関係な会話が含まれても、AIは文脈を把握し、最適な形式で情報を整理することが可能です。
さらに、TXP Medicalオリジナルの専門医が監修した救急医療専用の辞書が組み込まれているため、専門的な医療用語にも高い精度で対応し、誤入力を最小限に抑えることができます。
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【実証検証内容】
・救急医療情報システムへの音声入力において生成AIを利用することでの入力支援検証
・OA連携検証
・導入による効果の定量測定(時間測定)
【今回の実証検証の期待効果】
・傷病者データ共有による、搬送受け入れ先病院が決定するまでの時間短縮 ・口頭での説明事項の減少による、救急隊と病院間の平均通話時間の短縮
・傷病者データ共有による相互マッチングでの傷病者搬送の適正化 ・救急活動報告書の作成補助機能による、救急隊員の書類作成業務にかかる負荷の軽減 ・搬送事例のデータ解析による救急搬送体制の可視化と搬送プロセスの効率化
【実証検証の概要】
期間:2024年11月~2025年4月
・2024年11月・12月:シナリオによるデモンストレーション
・2025年 4月以降 :都内救急実搬送にて利用(予定)
【実証検証の内容】
1.想定された救急搬送のシナリオをデモンストレーション。その中でOCRの精度や音声入力の正確さ・構造化の処理速度などを実証します。
2.シナリオデモ完了後、実搬送の場面で実機能を実証します。
【今後の展望】
実証検証を通じ、救急現場に必要とされるシステム・AIやその機能、あり方について検証を行うとともに、「NSER mobile」の有効性を発表します。
【2024年12月26日東京都報道発表資料】
tfd.metro.tokyo.lg.jp/content/000064283.pdf
出典*1 東京消防庁 令和6年2月6日 プレスリリースよりtfd.metro.tokyo.lg.jp/hp-kouhouka/pdf/060206.pdf
出典*2 東京都の統計「総人口の動き」 toukei.metro.tokyo.lg.jp/jugoki/2022/ju22qf0001.pdf 出典*3 東京消防庁DX推進ロードマップ2023 digi-acad.metro.tokyo.lg.jp/img/c15043c7303a276473136fc84fb05a9a2b7cf072.pdf
出典*4. 東京消防庁INNOVATION PROJECTホームページ:過去の取り組みtfd-innovation-project2024-home.studio.site/12