急性期治験の課題
救急外来の受診を伴う急性期疾患の治験では症例集積が難しく、過去の治験では通常の治験と比べて施設数が多く、症例登録期間が長くなっている傾向があります。急性期特有の課題として下記の4点が挙げられます。
①時間的制約
救急外来には24時間、夜間・休日にも患者が来院します。その上、治験の症例エントリーまでに時間制限(発症後8時間以内、など)が存在するため、救急の初療時から症例スクリーニングを開始する必要があります。しかしながら、治験コーディネータ(CRC)は夜間・休日には稼働しないため、サポートを受ける事ができません。また、通常の治験では中心的に治験を実施する医師に集約することがありますが、時間的制約により中心的医師だけではスクリーニング漏れが生じてしまいます。
②症例促進が困難
突発的に対象患者が来院するため、通常の治験で実施される症例促進策は無効であることがほとんどです。
③同意取得が困難
救急外来受診後、患者や家族へ同意説明するタイミングは限定的です。急性期では患者の症状が安定していないため、家族への説明の必要性も大きいですが、一通りの処置や検査が終わると患者が入院する場合でも家族は帰宅されます。症状・処置に関する説明と一緒に治験の同意説明も行うと都合が良いのですが、慌ただしい救急外来の現場ではこの機を逸してしまいがちです。
④施設選定の難易度が高い
急性期疾患の治験は救急科だけではなく、脳神経・循環器・整形などの診療科で実施されます。しかしながら患者は救急搬送、救急科での初療が行われた上で各診療科に引き継がれます。救急搬送先の選定は、疾患・重症度・地域ごとに違い、また年々変化しています。最新の搬送フローを考慮し、対象患者が集まる施設を選定することが重要ですが、救急科以外の診療科の治験で搬送フローまで考慮するのは容易ではありません。
サービス概要
①患者リクルーティング支援システム
時間的制約や同意取得タイミングの課題に対し、NEXT Stage ERにより候補患者を通知することで、タイムリーな同意説明・治験エントリーに繋げます。
通常診療で使用されているNEXT Stage ERに通知機能を追加することで、診療の中での早期候補患者認知が可能となります。
NEXT Stage ERで解析された患者情報と治験の患者選択基準/除外基準とを照合し、
①条件にマッチした患者にボタン表示
これにより候補患者を早期に認知することができ、また救急外来の複数の医療従事者が認知することができます。
②ボタンクリックで次アクションを表示
選択基準/除外基準の詳細や、治験責任医師やCRCの連絡先、その他治験の次アクションを表示します。治験の候補患者と気付いてもどのような対応をすれば良いか分からない医療従事者も多いため、このような表示によりアクションを後押しします。
②治験フィージビリティ調査支援
NEXT Stage ER導入施設に対し、対象症例数の推計を行い、データに基づく治験フィージビリティ調査を支援します。併せて、救急医・集中治療医の視点で施設選定コンサルテーションをします。治験実施施設の選定における予備調査や、治験企画段階における施設数・期間の推計や選択・除外基準の設定検討に活用が可能です。
対象となる主な急性期疾患
脳卒中 (脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)、急性心筋梗塞、COVID-19 (特に中等症〜重症)、急性心不全、肺炎 / COPD急性増悪、外傷:頭部外傷、脳挫傷、脊髄損傷、骨折、アレルギー:アナフィラキシー、ICU疾患:敗血症、DIC、重症呼吸不全、ARDS、急性膵炎、喘息、発作、てんかん重積、感染症等の急性期疾患が対象となります。詳しくはお問い合わせください。
ご利用実績
救急患者情報のリアルタイム解析による急性期治験のリクルーティング支援サービスを開始!
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