今回は、実際に「NEXT Stage ER」を日常の業務の中でご活用いただいている、救命救急センター 看護師長の上澤さんと看護師主幹の米嶋さんにお話しを伺いました。
「NEXT Stage ER」の活用シーン
現在、看護師が主に活用しているのはトリアージ機能です。「NEXT Stage ER」に患者さんの問診結果を入力すると、電子カルテにもコピペで簡単にデータを移すことができるので便利です。今年の4月から救急部門の医師の体制が変わったことを機に医師が「NEXT Stage ER」のカルテ機能を使い始めました。事務ではコメント欄を活用して患者さんのご家族の来院情報を入力しているのですが、救急車の到着が立て込んだ際に、来院者の情報をリアルタイムで確認できるので助かっています。
導入メリット1: 院内コミュニケーションがスムーズかつ正確に
当院では従来、救急車を受け入れる際の連絡手段は電話のみでした。他の業務をしていても、電話がかかってくると一度手を止める必要があり、業務に負担が生じていたのです。患者さんの重症度が高いほどやり取りに時間を要し、1件に1分以上かかっていましたが、「NEXT Stage ER」を導入したことで通話時間が大きく短縮され、今では1件20秒ほどで済むようになりました。
さらに、事務から看護師に電話で伝えられた情報を、救命救急センターのスタッフ間で共有するためにホワイトボードを使用していましたが、常に最新の情報に更新されているわけではなく、現場に混乱が生じることもありました。加えて、電話によるやりとりでは、数字の言い間違いや聞き間違い、書き間違いといった細かいミスが生じやすいため、常に気を遣っており、精神的な負担がありましたが、今では「詳しい情報はシステムをみてください」と伝えるだけで済むため、電話でのコミュニケーションは救急車の到着時間などの簡単な内容だけでよくなりました。
また、救急隊から電話を受けても事務では患者さんの重症度を判定できませんが、「NEXT Stage ER」のシステムは決まったフォーマットに沿って情報を入力するだけでデータを正確に伝達できるため、看護師の方でその情報を元に事前に準備をして受け入れしやすくなった点も導入のメリットだと感じています。
導入メリット2: 院内トリアージのデータ共有・管理が効率的に
当院の救急外来の来院数は県内でもトップクラスで、ウォークインの患者さんは年間2〜3万人、新型コロナウイルス流行前は5万人にも達していました。患者さんが来院されたら、はじめに看護師が緊急度を判断し、治療の優先順位を決定する院内トリアージを行なっています。当院では特にトリアージの質を大事にしており、緊急度をどのように看護師が判断したのか、理由を詳細に記録に残しています。従来のやり方では紙に書いた情報をデータベースに転記しており、打ち込みに1件5分ほどの時間を要していました。1ヶ月分のデータベースの作成には5〜6時間がかかっていましたが、「NEXT Stage ER」を導入したことで効率化され、同じ作業が5分くらいで済むようになったのは大きな変化だと感じています。
導入メリット3: 症例検証にも役立ち、スタッフの教育面での活用も
医療の質の向上とスタッフの教育のために、月に1度医師を交えてトリアージワーキンググループでの検証会を行っています。この検証会の運営にも「NEXT Stage ER」のシステムが大変役立っています。当院では月60〜70件、新型コロナウイルス流行前は月100〜120件ほどの症例があります。その中から検証会で扱う2〜3例をピックアップするのも、従来のやり方では1件ずつ紙ベースでデータを確認して抽出していたため大変な作業でした。さらに資料作成にも1症例あたり10分ほどがかかっていましたが、今では「NEXT Stage ER」を活用することで、作業時間が3分ほどに短縮されました。症例検証が効率的に行えるようになり、スタッフの教育面でも役立っていると感じています。
導入までの経緯と、今に至るまでの道のりは?
「NEXT Stage ER」の導入のきっかけは、救急集中治療科の医師がすでに導入している病院の見学をした際に一目惚れをしたとのことでした。新病院への移転にあわせて具体的に導入が検討されたようです。看護部は当初は関わっておらず、導入が決定してから初めて「NEXT Stage ER」のことを知りました。はじめは受け身からのスタートで、TXP Medicalの担当者からの説明を受けた際に、大画面でのリアルタイムな情報共有や以前より力を入れていた院内トリアージに関する機能が充実している点に非常に魅力を感じ、看護部としても積極的に活用することにしました。正直にお伝えしますと、課題の解決のために強い意志を持って活用しはじめたのではなく、医師から勧められて導入したという経緯ですが、使用しはじめてから大変メリットがあることを実感しています。
もちろん、最初からスムーズに移行できたわけではありません。スタッフの年齢層が広いこともあり、PCに不慣れな方もいました。当初は従来の紙ベースでのやり方の方が効率的だと感じている方も多く、システムの切り替えに対応するストレスがありました。しかし、トリアージの実施だけではなく検証までを一つの業務として見た際に、全体的な効率化に繋がると実際に使い始めてから実感できたのがシステムの切り替えに成功できた理由だと思います。定着するまでには半年くらいがかかりましたが、担当者の方が丁寧に画面のカスタマイズ方法や操作方法を教えてくれたので助かりました。リアルな話をしますと、導入直後は当院の来院者数の多さにシステムの処理能力が追いつかず、スピード感を持って活用することができずに困っていたこともありましたが、早急に改善に取り組んでくださったので、今では問題なくスムーズに業務に活用できています。また、病院に合わせてカスタマイズしていただいたので、かなり使いやすくなりました。
今後の展望: 「NEXT Stage ER」の機能をフル活用し、医療の質のさらなる向上を目指したい
現状、「NEXT Stage ER」にある機能を全て使いこなせていないと感じています。医師はカルテ機能を活用していますが、看護記録は複雑で疾患別にテンプレート作成して経時的に詳細なデータを残しているため、看護部では現在のところ使用できていません。しかし、検証を視野に入れると「NEXT Stage ER」を活用するメリットが見えていますので、今後は少しずつ移行していきたいと思っています。
私たちは限られた時間をどこに使うかを考える際に、何をやるにしても患者さんのことを第一に考える必要があると常日頃から意識しています。患者さんに提供する医療サービスの質を高めていくためには検証は必須で、スタッフの教育のために使う診療以外の時間も重要ではありますが、できる限りの業務効率化を図ることで、患者さんのために直接使える時間を増やせるよう、今後も努力し続けていきたいです。