実際に「NEXT Stage ER」を日常の業務の中でご活用いただいている、看護部主任の中元亜耶さんにお話しを伺いました。
「NEXT Stage ER」の活用シーン
当院では、主に医師、看護師、事務など院内のスタッフ間の情報共有に活用しています。ウォークインの患者さんの場合は事務が電話連絡を受けた時点でシステムに情報を入力し、救急車の患者さんの場合は看護師、救急救命士が救急要請の連絡を受けた際に入力をすることで情報共有がなされます。
システム導入前は、ウォークインの患者さんの情報は事務が電話を受けた時点で受け入れ用紙に記入し、看護師に電話連絡後、受け入れ用紙を受け渡すような業務フローでしたが、お互いの電話がつながらないことも多く、運用が乱れていました。看護師が受け入れ用紙を事務まで取りにいくことが多く発生していましたが、導入後はその必要がなくなり、院内の連携がスムーズになりました。
特に新病院に移転して救急部門のフロア面積が広くなったため、患者さんの管理に「NEXT Stage ER」が役立っています。患者さんの診察状況をこまめにシステムに入力することで、現在診察をしている患者さんのリアルタイムな情報がトップ画面で一覧できるため、チームで仕事がしやすくなりました。
また、さまざまな台帳作成業務もシステム導入によって効率化がなされています。例えば、これまでは診療後に必要な患者情報を電子カルテに改めて入力する手間が発生するのが課題となっていました。その点、「NEXT Stage ER」は電子カルテとの連携で必要な患者情報が自動的に入力されるのが大きな魅力だと感じています。
導入メリット1: 業務効率が大幅にアップ!
システム導入前は、空いている時間や夜間に救急外来日誌を手書きで入力をしていました。いちいちカルテを開いて患者さんの情報を確認する必要があり、1つ1つ必要な情報を入手するのに手間と時間を要していました。内容にもよりますが、この作業には患者さん1人あたり5〜10分程度がかかっており、平日は10〜20名、休日は50名程度の受診があるため、この業務をこなすために残業をすることも多く課題となっていました。現在は、「NEXT Stage ER」の導入によって効率化され、平日1.5時間、休日4時間ほどの時間が削減されています。専門職の業務に専念できる時間が増え、さらなる業務の効率化を考えるきっかけになりました。
導入メリット2: 電話業務がゼロに!
一番大きな変化として実感しているのは、電話連絡の業務がなくなったことです。電話で連絡をしていた頃は、事務が救急だけでなく一般外来の受付も担っていたため、電話がスムーズに繋がらないことが多々ありました。そのような場合、看護師が事務室まで行って情報共有をしたり、本来事務が担当している記帳業務を看護師が代行しなくてはならず、非効率的な状態でした。また、これまでは救急車の患者さんを受け入れる際に、看護師から事務に1〜2分、医師に5分前後の時間が電話連絡にかかっており、院内で連絡をしている間に患者さんがすでに到着していることもありました。「NEXT Stage ER」導入後は、システムに入力すれば、瞬時にチーム全体に情報共有ができるので、電話連絡が不要になりました。常に患者さんのリアルタイムな情報が画面に表示されているので、更新があればすぐに確認することができ、連携が取りやすく助かっています。
導入後、スムーズに運用できるまでの道のりは?
実のところ、導入が決まった当初はパソコン操作に慣れていないスタッフも多く、新しいシステムの導入にはやや抵抗感がありました。週1〜2日など勤務日数が少ないスタッフ、夜勤のアルバイトのスタッフとは情報共有がしにくい上に、システムを実際に使う機会が少なく、なかなか覚えられないなどの課題もありました。「NEXT Stage ER」に限った話ではありませんが、新しいシステムの導入は利用するスタッフ全員が慣れるまでが大変です。しかし、TXP Medicalのスタッフの方が使い方を丁寧にサポートしてくださったおかげもあり、本格的に導入をしはじめて半年程度で、スタッフ全員がシステムへの入力方法を習得し、スムーズに運用できるようになりました。新病院は以前よりも救急部門のフロアが拡大され、システムを活用して業務を行う必要性が増したことも、スタッフ全員にとって適応するモチベーションを高めることにもつながっていたと思います。
今後の展望:救急車の受け入れを増やす目標の実現に向かって
現状の課題として、新病院は救急部門のフロアが広くなりましたが、救急チームのスタッフの人員はそのままで、なおかつ検査や救急病棟(HCU)も見なければならず、業務負担が増大している点が挙げられます。しかし、スタッフの負担や人員不足を客観的に表すのが難しく、現状の課題を病院の上層部に示せていません。そこで、このシステムを活用して看護師がどのような業務にどのくらいの時間携わっているのかを数値化し、救急車の受け入れを増やす目標の実現に必要な条件を表せるようにしたいと考えています。また、現在は手が回っておらず、院内トリアージを実施しているにも関わらず、実施料が算定できていません。業務の効率化と人員不足の解消を実現し、ここをしっかりと算定していくことで、救急部門の看護部の頑張りを客観的に示せるのではないかと考えています。まだまだ現状の課題を解決するためにやれることがあると感じていますので、今後も更なる活用をしていきたいと考えています。