2025.11.06
プレスリリース・プラットフォーム【TXP Medicalが多施設共同RCTのEDCシステムを構築】 〜重症患者における至適静脈栄養開始時期とタンパク質投与経路を明らかにするアンブレラ型多施設共同研究 PANDRA trial〜

2025年10月1日、TXP Medical株式会社(代表取締役:園生 智弘)は、慶應義塾大学病院を主幹施設とした 「重症患者における至適静脈栄養開始時期とタンパク質投与経路:アンブレラ型多施設共同非盲検ランダム化比較試験」におけるElectronic Data Capture(EDC)システムを構築し、運用を開始しました。本研究は、急性期重症患者における栄養療法のタイミングや内容、補助栄養の在り方に関する未解決課題の解明を目的としています。
日本集中治療医学会の栄養療法ガイドラインでも議論が続く「早期経腸栄養が可能な患者への高タンパク投与経路」および「経腸栄養が困難な患者における経静脈栄養の早期開始の有用性」という二つの主要論点に焦点を当てた多施設RCTとなります。
■ アンブレラ型研究の特長
本研究は、ひとつの疾患領域に対して複数の介入を同時に検証する「アンブレラ型研究(umbrella trial)」として設計されています。共通の研究基盤上で複数のサブ試験を並行実施することで、効率的かつ多面的に介入効果を評価できることが特長です。 TXP Medicalは、この構造に対応したEDCを構築し、データ収集と解析の精度・効率化を支えています。
本研究は全国25施設が参加するアンブレラ型多施設共同非盲検ランダム化比較試験として実施され、 研究組入れ後48時間以内に経腸栄養を開始できるか否かに基づき症例を層別化。 割付から1週間・14日目・28日目・90日目までの臨床経過および有害事象を登録・解析します。
■ 展望
本研究を通じて、急性期における栄養療法に関する多未解決課題に答えを導き出し、将来的には患者個々の状態に応じた「テーラーメイド型急性期栄養療法」の確立を目指します。TXP Medicalは今後も、現場発の技術とデータ基盤を通じて、臨床研究の質向上と医療現場の課題解決に貢献してまいります。
【慶應義塾大学医学部救急医学 研究代表者 山元良 専任講師 コメント】
日本集中治療医学会CTG(Clinical Trial Group)委員会研究助成制度にて採択されたPANDRA trialは、急性期の栄養療法に関するガイドライン作成の過程にて抽出された、二つの重要な未解決課題に挑む研究です。すべての人間が生きるために必要な「栄養」を通じて、重症疾患から回復した患者の身体機能を改善させるため、日本全国の病院で力を合わせて、ランダム化比較試験を行っています。
【TXP Medical株式会社 代表取締役 園生 智弘 コメント】
急性期医療の現場では、治療介入の一つひとつが患者の生命予後に直結します。その中で“栄養療法”というテーマは、特に、科学的なエビデンス構築が求められている領域です。
TXPは、データ入力の支援技術と臨床研究の理解を融合させ、適切な臨床研究の実施環境を支えることを使命としています。 今回の取り組みにおいても、研究成果が現場の診療や患者のアウトカムに確実に還元される仕組みを築いていきたいと考えています。
【TXP MedicalのNEXT Stage EDCの特徴】
EDC(Electronic Data Capture)システムは、臨床試験におけるデータ記録や症例登録をオンライン上で行うシステムです。 TXP MedicalのEDCは、研究に精通した医師が構築をリードし、項目判別の容易さや入力支援機能、電子カルテの検査データをOCRで電子化する機能などを実装することで、臨床研究を成功に導きます。ユーザーフレンドリーな設計により、カスタム開発を迅速に実施でき、コスト・柔軟性・スピードのすべてにおいて優れています。
また、電子カルテ上で動作する急性期医療データプラットフォーム「NEXT Stageシリーズ」とQRコード等を用いて一部項目を自動連携することも可能です。
2024年以降は生成AIを用いた自動登録機能を搭載し、症例集積の効率化にも寄与しています。
【EDC(Electronic Data Capture)とは】
担当医師・スタッフが得られた臨床データをPC端末等から電子的に入力するシステム。研究者や事務局がリアルタイムでデータを監視・確認できる仕組みを提供します。



