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救急支援システム×統計システム連携による救急業務の効率化

恵庭市消防本部|第37回北海道救急医学会 救急隊員部会研修会 発表報告


サマリー

  • 恵庭市消防本部が「NSER mobile」と「ベストル119」を連携

  • 救急活動報告書の入力作業を1事案あたり約10分短縮

  • 年間約570時間を創出する業務効率化を実現


救急出動件数の増加により、全国の消防本部で課題となっている「帰署後の事務負担」。
北海道・恵庭市消防本部では、救急支援システム「NSER mobile」と救急統計システム「ベストル119」を連携させることで、救急活動報告書作成時間を1事案あたり約10分短縮。年間では約570時間を創出する業務効率化を実現しました。
本記事では、異なるベンダー間でのシステム連携によって実現した、救急DXの先進事例をご紹介します。
(※第37回北海道救急医学会 救急隊員部会研修会 発表内容より構成)


恵庭市消防本部 概要

  • 人口:70,114人(令和8年1月現在)

  • 救急隊:3隊(予備車両1台保有)

  • 救急告示医療機関:3機関

  • 救急出動件数:3,413件(令和7年中)

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「入力を減らす」から「連携する」へ

恵庭市消防本部では、平成25年より株式会社ワコー商事の救急統計システム「ベストル119」を運用していました。
一方、増加する救急出動への対応や、帰署後の事務負担軽減が課題となる中、令和7年3月よりTXP Medical株式会社の救急支援システム「NSER mobile」を導入しました。
今回の特徴は、単なるシステム追加導入ではありません。
現場で入力した情報を、統計システムへ自動連携することで、「二重入力そのものを減らす」という取り組みに踏み込んだ点にあります。

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異なるベンダー間連携を実現

「NSER mobile」×「ベストル119」

しかし、TXP Medical社とワコー商事社のシステム間で連携実績はなく、検討はゼロからのスタートでした。
恵庭市消防本部は、両社と協議を重ねながら、現場運用を踏まえたデータ連携の仕組みを構築。
結果として、「NSER mobile」で入力したデータのうち、救急活動報告書作成に必要な項目のうち入力頻度が多い100項目を、「ベストル119」へ自動反映する仕組みを実現しました。

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クラウド経由で100項目を自動連携

「NSER mobile」は傷病者引継書をベースとした入力設計、「ベストル119」は救急活動報告書をベースとした設計となっています。
恵庭市消防本部では、両システム間で必要項目を整理し、クラウドサーバを介してデータ連携を構築しました。
これにより、現場で入力した内容を帰署後に再入力する負担が大幅に軽減されています。

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1事案あたり約10分短縮

年間約570時間を創出する業務効率化へ

実際に、システム連携前後で入力作業時間を比較検証したところ、大きな効果が確認されました。
検証対象となったのは、
・急病事案(83/100項目連携)
・CPA事案(100/100項目連携)
の2パターンです。
その結果、
・連携前:約18分
・連携後:約8分
と、1事案あたり約10分の短縮を実現しました。

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この効果を、恵庭市消防本部の年間救急出動件数(3,413件)に換算すると、年間約570時間を創出する業務効率化に相当します。
創出された時間は、
・訓練時間の確保
・事務作業の見直し
・現場活動品質の向上
などへ活用されています。

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実運用で見えてきた課題

一方で、異なるシステムを連携するからこその課題も見えてきました。

① システム障害時の対応

異なるベンダー間での構成となるため、障害発生時の切り分けや対応に時間を要する可能性があります。

② 連携項目の拡張

さらなる入力負担軽減のためには、追加連携やカスタマイズに伴う費用が発生します。

③ 継続的な予算確保

効果を維持・発展させるためには、費用対効果を踏まえた継続運用体制も重要になります。

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救急DXは「導入」で終わらない

恵庭市消防本部の事例は、単なるシステム導入ではなく、「システム同士をつなぐ」ことで現場負担を軽減した先進事例と言えます。
救急需要の増加が続く中、限られた人員・時間で質の高い救急活動を維持するためには、こうした“連携型DX”の考え方が今後さらに重要になっていくでしょう。
また、発表では、
「消防・救急DXは、システム導入そのものが目的ではなく、それを活用できる人材育成が重要である」
というメッセージも共有されました。
テクノロジーと現場運用、その両方を見据えた恵庭市消防本部の取り組みは、全国の消防本部にとって大きな参考事例となりそうです。


(文責:TXP Medical株式会社 EMS Collection編集部)

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