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広島県全域(東広島市などを除く)で救急医療の現場を改革 アナログからデジタルへ ~救急搬送支援システムの実証実験を10月より開始~

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広島県とTXP Medical株式会社(本社:東京都千代田区、代表:園生智弘)は、2023 年10月から、2025年9月迄の期間、救急隊アプリ「NSER mobile」で構築した救急搬送支援システムにて紙と口頭での伝達による救急搬送を、デジタル化する実証実験を実施します。
救急隊が現場で作成する傷病者申送り票において、多彩な入力支援を備え医療機関と共有するシステムを利用した救急搬送は、日本で徐々に取り入れる自治体が増えていますが、都道府県単位で運用している自治体は未だ少ない状況です。
本実証実験では、TXP Medical株式会社が開発したAIによる入力支援システムを搭載した専用のスマホアプリを通じて、救急隊が患者情報を含めた現場の情報を、事前に救急搬送先病院にデータ送信することで、患者の状態をより詳細に情報共有することが可能となります。
実証実験により、地域の救急医療のコミュニティが一体となった、効率的で適正な救急搬送の有効性を検証してまいります。

hiroshiimaTXP

【背景】
広島県は、離島や山地を含み平地が少ないという地理的特性もあり、救急搬送においては、都市型(比較的医療機関が多く、医療圏内で搬送が完了する代わりに、受入医療機関の選定が必要)と、地域型(医療機関が少なく、受入医療機関の選定が不要な代わりに、重症例等の場合、医療圏をまたいで搬送が必要)の異なる特徴を有する地域が混在しています。
このため、全国の都道府県で導入されている搬送先の選定を目的としたシステムは、地域型の現場のニーズに会わない他、都市型の現場においても、作成必須とされる傷病者申送り票の作成業務との重複から有効に活用されていませんでした。
一方で、電話による口頭伝達のみのアナログな交渉ではなく、システムを使用し、デジタルに情報伝達し交渉したいという新たなニーズ(救急医療のDX)は重要性が早くから訴えられており、今回の県の検証に先駆けて、福山市では独自に2020年12月から1年間の救急搬送システムの利用に関する実証事業*1を、全国で初めて実施しました(TXP Medical株式会社「NSER mobile」を利用)。
*1:(参考)広島県福山市の実証実験についてのプレスリリース
prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000031630.html

【今回の実証実験の期待効果】
・患者データ共有による、搬送受け入れ先病院が決定するまでの時間短縮
・口頭での説明事項の減少による、救急隊と病院間の平均通話時間の短縮
・患者データ共有による相互マッチングでの患者搬送の適正化
・救急活動報告書の作成補助機能による、救急隊員の書類作成業務にかかる負荷の軽減
・搬送事例のデータ解析による救急搬送体制の可視化と搬送プロセスの効率化

【実証実験の概要】
期間:2023年10月~2025年9月
参加機関【令和5年7月1日時点】
・消防機関:12消防局(本部)、121救急隊   出典:消防防災年報(令和4年版)
・医療機関:70機関
実証エリア:東広島市・竹原市・大崎上島町を除く広島県全域

広島県TXPver2

【実証実験の内容】
1.救急隊に「NSER mobile」導入タブレット端末を配布し、 実運用までのテストを行います。その後、救急隊アプリ 「NSER mobile」を利用した救急車搬送を10月より 一斉に開始いたします。
2.広島県ドクターヘリの運用においても、有用性の検証 のため、システムを活用することとしています。

【利用するアプリ「NSER mobile」について】
「NSER mobile」は、救急隊-病院間の情報共有や、救急活動報告書作成を効率化するアプリケーションです。「NSER mobile」の利用により、病院と救急隊のミスコミュニケーションリスクを低減し、①搬送受け入れ先病院が決定するまでの時間短縮及び②救急搬送体制の可視化と業務効率の向上が期待できます。また、③救急活動報告書の作成補助機能もあり、救急隊員の書類作成業務にかかる負荷を軽減できます。2020年にサービス提供を開始し、国内のべ19自治体、救急搬送数は70,000件以上利用されています。
2021年に開始した鎌倉市におけるNSER mobileの実証実験では、救急隊と病院間の平均通話時間が22%短縮した等の成果があります。
NSER mobile

【今後の展望】
実証実験を通じ、救急現場に必要とされるシステムやその機能、あり方について検証を行うとともに、「NSER mobile」の有効性を発表します。

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